1.設計事務所について

Q.1 設計事務所に依頼するとどんな利点がありますか?
住宅を建てる時どこに相談するか、依頼するかを決定する事から始まります。沢山の選択肢の中から何を選ぶかはそれぞれメリット・デメリットがありますから皆さん様々だと思います。設計事務所は決まったプランが最初からあるわけではありません。住まい手の価値観やヴィジョンを共有しながら、施主にふさわしい住宅を一緒に創り上げていきます。設計事務所は、住宅を提案・デザインするだけが仕事ではありません。設計から完成後のメンテナンスまで一貫したサポートをする事はもちろん、予算の配分、工務店探し、工事が始まれば現場監理と全面的にフォローします。また見積の際、通常は複数業者の合見積もりを実施しています。見積書の内容が適正かどうか、又、見積落ちは無いかさらに内容を細かくチェックして、安心して工事契約が行えるようにサポートする事も設計事務所の大切な仕事です。
Q.2 設計事務所に設計を依頼したいのですが、どうしたらいいですか?
興味がございましたら、是非一度電話かメールで問合わせしてください。来社していただき、事務所の雰囲気や模型、竣工写真を見ていただければと思います。設計事務所を選ぶのはお見合いの様なものですから、もちろん相性の良し悪しもあります。一緒に家造りができる相手かどうか確認して下さい。家に対する夢やこだわり、ご自身のライフスタイルをお聞かせ下さい。小さな事でも、「こんなこと」と思わず、気軽にご相談ください。又、作品集(竣工物件のプランや竣工写真をまとめたもの)の貸出しも行っています。(こちらは、来社頂いた方のみのお貸し出しになります)
Q.3 設計事務所は敷居が高いイメージがありますが…。
一般の方には敷居が高いと思われているようですが、決してそんな事はありません。ローコストでも要望を叶えるために、設計事務所を是非ご利用して頂きたいと思っています。設計事務所ならではのご提案をさせてください。建物の形の凹凸を少なくしたシンプルなプランにしたり、建具や間仕切り壁を最小限に抑えたりする等の工夫も必要になりますが、いくらローコストといっても我慢し過ぎてストレスをためてしまったり、最低限の快適性を確保出来なくては、意味がありません。必要なものと削っても我慢できるものの見極めを設計の中で一緒に考えていきます。
Q.4 土地探しも相談にのってもらえますか?
もちろん可能です。敷地には様々な法規制が掛かっており、敷地を実際に見るだけでは解らない事が沢山あります。用途地域・道路の巾員・方位・近隣状況・水道や下水のインフラ等が、建物の計画や工事金額を大きく左右します。また、最初に住宅への希望や要望をお聞かせいただくことで、その希望に適した土地を一緒に確認してアドバイスすることもできます。ぜひご相談ください。
Q.5 住宅以外の設計も頼めますか?
当事務所では、美容室やカフェから幼稚園や工場など住宅以外の実績もあります。当ホームページに作品を掲載しておりますのでぜひ御覧ください。中でも店舗併用住宅等の二つの要素が存在する建物では両要素の関係性が大切になってきますので、事例などを参考に、コンセプトを大切にした現実的なご提案ができると思います。商業施設などでは、要望に併せて別途工事となるサイン・看板を始め置き家具の選定などの相談と提案をさせて頂いています。また、補助金事業や建築以外の申請、市・県などの機関との打合せもお手伝いできます。
Q.6 設計契約は、いつするのですか?又、設計料の目安を教えてください。
設計契約はご提案した建物の案を気に入っていただき、当設計事務所では設計監理料の金額を重要事項説明として事前に行い、御納得いただいてから設計契約になります。設計監理料はいろいろなケースによって若干異なりますが、私共では国土交通省の告示に基づく算定表で算定し、ご提示させていただいています。一般住宅では予定工事費の約10%程度が目安です。設計監理料の支払時期は、一般的には設計契約時に全体の1/3、工事着工時に1/3、竣工時(建物引渡時)に1/3ですが、資金計画によってご都合に合わせることも可能です。また当設計事務所では、模型作成費用や関東地域エリア内の出張料・交通費は設計料 監理料に含むものとし、別途費用は基本的にいただきません。(但し、遠方の場合は出張料・交通費が発生します)
Q.7 相談するのも、費用がかかりますか?
基本的には無料です。設計契約を結ぶまでは費用は発生しません。設計契約が済むまでは、計画案をつくらない事務所もあるようですが、当事務所では、まず敷地に関しての上下水道等のインフラや法規制のチェックを行い、計画案(プラン・立面・パース・模型等)をつくります。設計契約に至らなかったとしても、基本的にはそこまでは費用を請求することはありません。また、初期計画案の作成やパース、模型作成などのプレゼンテーション作業は、事務所の若手スタッフの訓練や良い空間を考える場として非常に有意義です。私たちにとってみても日頃考えているアイディアを発揮するチャンスですので、より多くの方からのご相談をお待ちしております。
Q.8 設計から建物が完成するまでは、どの位の期間ですか?
規模・構造・敷地条件によっても異なりますが、一般的な目安としては設計に半年、工事に半年、計 1年くらいです。もっと期間を短くすることもできますが、ある程度時間を掛けたほうが理想に近い家ができると思います。当事務所には「2~3年後に建てたい」と相談に来る方も珍しくありません。また私たちは、家づくりの基本は施主がゆっくり考えて、後悔のないように進めていくのが理想ですので、家族での話し合いを多くもつことも大切なことです。一生に何度とない機会ですので時間をかけて、自分たちの理想のかたちを探していくのも一つの方法ではないでしょうか。

2.資金計画について

Q.1 資金計画が自分たちでは不安なのですが・・・
住宅を手に入れるのに、資金計画は避けられません。特に土地代や建設費以外にかかる火災保険料や地震保険料、保証料、抵当権の設定代などの諸費用と言われるものはなかなか予想できないものです。融資を受けるのなら、工事のスケジュールと融資金額、返済計画の他に融資にかかる諸費用がどのくらいかかるか融資を受ける金融機関の窓口できちんと確認してください。合わせて工事日程と融資が実行される日程も同様に行って下さい。最近では、固定金利と変動金利の選択、融資金額と月々の返済額等、各金融機関のインターネットや窓口で簡単に算出することができます。
Q.2 建築工事費以外にどんな費用が掛かりますか?
本体建物と外構工事、それに照明やエアコンなどの電気設備、空調・換気工事までを建築工事費とした場合、目安として工事費の10%程度はかかると言われています。確認申請手数料、地盤調査費、カーテン・置き家具等のインテリア費用、植栽、引越代、税金(不動産取得税)等があります。建替の場合は、解体費用と仮住まいの費用がかかりますので注意が必要です。
Q.3 自己資金はどの位必要ですか?
決まりがあるわけではありませんが、目安としては総費用の20〜30%が必要と言われています。一般的には、自己資金を保険料、保証料、引越し代等に充てるケースが多いようです。金融機関によって工事契約金額の80%までとか、100%までOKとか融資条件は様々です。融資を受ける金融機関でご確認ください。融資額を決定する際には返済負担率(年収に対する返済額の割合)の確認を合わせて行って下さい。
Q.4 希望の家を建てるのに予算が心配なのですが・・・
限られた予算の中で希望のある家を建てるコツとしては、自分たちが新しい住宅に何を期待しているか、これだけは実現させたいというポイントを、設計者によく伝えることだと思います。必要な物とそうでない物をしっかり選択することが予算をオーバーしない事に繋がると考えます。
Q.5 融資に掛かる諸費用を教えてください。
連帯保証人をつける代わりに、保証会社に保証してもらうためのローン保証料、住宅ローンの返済中に債務者が死亡した場合、保険金で残りのローンを返済する団体信用生命保険料、住宅ローンの事務手数料、火災保険料、地震保険料などがおもな費用になります。建設費・建物の構造、金融機関などにより金額や掛け率が異なります。金融機関のインターネットや窓口で簡単に算出することができます。
Q.6 親から援助してもらいたいが、課税されますか?
住宅の床面積、贈与を受ける方の年齢・年収等その他条件はあるものの、条件さえ合えば非課税で資金援助を受ける事が出来ます。贈与税は住宅取得時の特例があり、相続時精算課税と合わせて利用することが可能です。非課税枠には住宅の条件がありそれぞれに設定された金額が非課税枠1200万、700万、3000万、2500万のいずれかとなります。相続時清算課税2,500万+非課税枠の合計が非課税の限度額になります。贈与を受けた金額は、住宅取得に充てること以外には利用できません。又、税務署に書類の提出が必要です。申告期間が決まっていてその期間以外の申告の場合税金がかかってしまう場合がありますので、専門家への相談をお奨めします。詳しくは、国税庁のホームページ等や税務署等で最新の情報をご確認下さい。
※国税庁 https://www.nta.go.jp/
Q.7 建物にかかる税金は何がありますか?
新築時にかかるものと、毎年かかるものがあります。 新築時にかかる税金としては「不動産取得税」(完成後半年~1年後)があります 土地と建物のそれぞれにかかり、固定資産税評価額の3%となっていますが、床面積が50㎡以上240㎡以下の新築住宅の場合軽減措置が適用されます。 完成翌年から毎年かかる税金としては「固定資産税」「都市計画税」がかかります 固定資産税:固定資産税評価額※×1.4%ですが、住宅には特例があり床面積が50㎡~280㎡の場合、120㎡までの部分の税額が3年間1/2に軽減されます。 都市計画税:固定資産税評価額※×0.3%(市町村により異なります) これらの税金は毎年支払っていくことになりますので、住宅ローンの返済と合わせて計画する事が大切です。 ※ 固定資産税評価額:一般的に建設費の5割~8割が評価額といわれていますが、市町村によっても異なります。詳しくは、建設地予定地の市町村の資産税課でご確認ください。
Q.8 固定資産税はどうやって決まるのですか?
「固定資産税」とは、地方税の一種で、毎年1月1日現在で土地・家屋などの固定資産を所有している人が、その資産価格を基に算出される税額を納めるものです。新しくお住まいになる市町村の資産税課が引越し直後〜約半年以内に建物の現地調査を行い税額を算出し決定します。税額は使用した材料、面積、などに応じて評価点が算出されます。評価点は基本的に工事原価に相当する費用を目安にしているので、高価な仕上げ、設備であれば、その分点数も高くなることを理解しておきましょう。

3.ヒアリング

Q.1 良い住環境をつくるためのコツは何ですか?
私たちは単に建物だけの設計ではなく、敷地全体を有効にデザインする事を心がけています。敷地の特徴や周辺環境を把握し、場の固有性を考え、内部と外部・公と私など住環境を形成する要素の連続性のなかにデザインのポイントを見いだしています。又、全体工事費の中で建物本体に全ての予算を掛けるのではなく、外構工事に工事費の約15%程度を配分することで、敷地全体の建物と外構のバランスの良い計画になると考えています。その他の車庫・物置なども、必要に応じて提案していきます。
Q.2 要望がとても多いのですが・・・
私たちは対話の中でアイデアやプランの方向性を見いだして行きます。近い将来をイメージしながら、どんどん夢を語ってください。出来る限りの要望をふまえたプレゼンテーションをさせて頂きます。要望や敷地の形状を踏まえ、図面だけでなく模型やCG・イメージ写真などコンセプトを分かりやすく伝えられるような楽しいご提案をさせていただきます。まずは理想の住まいを考えながら、家族にとって大切なものを残し、必要でないものを省いていくプロセスの中で、予算とのバランスの取れた理想の家に近づいていくのだと考えています。
Q.3 リノベーション(改修)か建替か迷っています・・・
リノベーションか建替かは、どちらにもメリット・デメリットがあります。リノベーションのメリットは工事の規模や改修する箇所数によっても異なりますが、建替よりは工期が短く、仮住まいの期間が短く済みます。工事箇所によっては住みながらの工事も可能です。又、デメリットとしては既存の構造等によりプランの制約を受ける事等があげられます。皆さんリノベーションしたい理由も「耐久性や美観を高めたい」「設備をグレードアップしたい」「断熱性を向上させたい」「防犯性を高めたい」「耐震性を高めたい」など様々です。最近ではライフスタイルの変化にあった減築の問合せ等も増えています。お子様の巣立たれた後の生活では、リビングを中心に寝室や水廻りを配置し、コンパクトに構成するのも一つの方法かと思います。リノベーションと建替のそれぞれのメリット・デメリットを考慮し、今後を豊かに暮らせる住宅にするための新たなご提案をします。もちろんリノベーションの事例も年に数件はございますので、ぜひご相談下さい。
Q.4 2世帯住宅を計画する時、どんな点を重視したらいいですか?
まずはご家族で良く話し合って、どんなスタイルにするか決めていきましょう。色々なスタイルがありますが、代表的なものは次の3つです。 ①完全同居型(食事や入浴を共同で使用する) 建築費や光熱費は安く済みますが、プライバシーは確保しにくくなります。 ②一部分離型(キッチンや浴室等を別々に設けながらも2世帯が集まれるスペースを設置する) 建築費や2世帯分の光熱費がかかりますが、各々のプライバシーは確保しつつ、両世帯の交流は取りやすくなります。 ③完全分離型(玄関・キッチン・浴室を別々に設ける) お互いの生活スタイルの違いなど気にせずに暮らせますが、②同様建築費や2世帯分の光熱費がかかります。又、内部でお互いの住居を行き来する為のドアは設置した方が便利です。 いずれにせよ、お互いの生活スタイルを尊重しつつ、生活スタイルの違いにストレスを貯めない工夫をし、どのような形で交流を図っていくか考えていく事が重要です。
Q.5 敷地形状が複雑な場合や高低差がある場合でも計画できますか?
どのような条件でも要望や周辺環境を考慮しご提案することは設計事務所の得意とするところです。 まずはお話を伺って敷地を見させてください。事務所で現地調査をし、敷地の大きさや形状、レベル差等の簡単な測量をします。必要に応じて本格的な測量や開発行為が必要な場合は、測量事務所をご紹介することも出来ます。調査をもとに与条件を整理して出来る限りのアイディアをご提案させて頂きます。
Q.6 地震に強い家がほしいのですが・・・
現在の建築基準法は新耐震基準 (1981年改正)といい、それ以前の基準を旧耐震基準といいます。旧耐震基準では震度5程度の地震でも転倒しないという基準があり、それ以上の震度については基準がありませんでした。それに対して新耐震基準では、震度5程度で建物に軽微なひび割れでとどめ、震度6や震度7の地震でも転倒しないこととなっています。現在の建築基準法をクリアしていれば新耐震基準を満たしていることになります。この他に耐震等級というものがあり、耐震等級1は新耐震基準(現建築基準法)を満たすことを示します。耐震等級2は耐震等級1の1.25倍の強度、耐震等級3は耐震等級1の1.5倍の強度があるという意味です。等級を証明するためには登録住宅性能評価機関への申請(申請料がかかります)が必要になります。当事務所では、ご要望があれば耐震等級2や3の基準を満たす建物の設計も対応します。
Q.7 省エネ住宅・エコ住宅ってどんなものでしょうか。
省エネ住宅とは、省エネルギーに配慮した住宅のことをいいます。具体的には、外部に面する部分(屋根・外壁・床)に断熱性能の高い断熱材を入れ、断熱・気密性能の高い窓を用いる等によって、室内と室外との熱の出入りを極力少なくするというものです。断熱性・気密性を高めれば少ない冷暖房で、光熱費を抑える事ができ、同時に、冷暖房による二酸化炭素の排出量を減らして地球温暖化防止に貢献できます。「エコ住宅」は省エネ住宅と似た意味で使われますが、自然エネルギーを活用した設備を採用したり自然素材を多用する等の、より地球環境に配慮した住宅のことをいいます。但し、「省エネ」や「エコ」への意識が高まるあまり、「省エネ性能を表す数値が高ければ高いほどいい」とばかりに数値だけで家の良し悪しを判断し、省エネのために使い勝手や間取り等をガマンするのでは「豊かで快適な住まい」とはいえません。また、高機能な省エネ設備は、補助金が出るものの、コストアップにつながる可能性があります。設置時のイニシャルコストと、設置後にかかるランニングコストのバランスを考えていく必要があります。
Q.8 夏涼しく冬暖かい住宅にしたいのですが・・・
Q.9でもご紹介しましたが、断熱性能と気密性を高める事で夏涼しく冬暖かい住宅にできます。その建物の断熱性能を決める断熱材は、多くの種類があり、いずれの断熱材もメリット・デメリットがあります。断熱材の厚さは、その断熱材のもつ性能とお住まいの地域や建物の部位によって基準があり、その基準に合わせて決定していきます。どんな断熱材も、正しく施工していなかったり、隙間があったりでは充分な性能は発揮できません。当事務所では一般的な木造軸組工法ではグラスール充填工法を採用していますが、設計の中で断熱に対するご希望をお聞きしながら、あまりオーバースペックにならない様に全体のコストの中で選定しています。

4.プランニング

Q.1 建物がすごくシンプルですっきり見えるのですが、なぜですか?
私どもの設計する住宅では、できるだけカタログに載っているような既製品を使うのではなくその家にあったオリジナルの建具や巾木・廻縁といった造作材を特注製作致します。そのため、余計な出っ張りや派手な装飾のないすっきりした印象を受けると思います。仕上げ材や色彩のコーディネートを重視しているのも特徴の一つです。また、備え付けの造作家具も空間に合わせて全て1点製作しますので、より建物との一体感を強調する大きな要素になっています。
Q.2 建物の内部(インテリア)に対するスタンスを教えて下さい。
「こんな家に住みたい」という施主のイメージを尊重し、それに合わせた空間や素材を提案していきます。私たちは常々施主にスタイルのある暮らしをしていただけるような家づくりを目指していますので、魅力あるプランニングの提案はもちろん、色彩計画、素材のコーディネート、情緒を愉しむための照明計画など、施主の住まい方に合った提案をしていきます。特に階段がある場合は配置やデザイン性などで特徴を見いだすことが多くあります。
Q.3 造作家具のデザインから家電や置き家具などのアドバイスも可能ですか?
住まいの空間を考える上で、家具のデザインやレイアウトは非常に重要です。当事務所ではほぼすべての物件で造作家具を製作しています。基本設計・実施設計と進めていく中で下足入れやTV台、キッチンの収納などの打合せをしながらデザインしていきます。 製作の家具とすることで住む人の使い勝手に配慮した寸法や収納量に加え、建物との一体感が生まれすっきりとした印象になります。 また家電製品に関しては、外国製の冷蔵庫や洗濯機を購入される方、家具や壁・天井にスピーカーを組み込む方、ホームシアターを設置する方など、こだわりをもっている方が多いようです。こちらも器具選びから設置方法に関してまで相談と提案をさせていただいています。
Q.4 おしゃれなキッチンにしたいのですが・・・
住宅を建てる際、施主が最も時間をかけて選ぶポイントの一つです。オープンキッチンにしてインテリアの一部の様にしつらえたり、セミクローズドキッチンにしてリビングダイニングとの仕切りを設けたりと、キッチンへのこだわりと全体の予算配分で決めていきます。又、食品庫を隣接させたプランは、食品のストックやゴミの仮置き等が確保されてキッチン廻りをスッキリとさせることができます。国内メーカーのキッチンも種類が豊富ですが、最近では海外メーカーのキッチンや、私たちが提案したオリジナルの造作キッチンにされる方もいらっしゃいます。
Q.5 浴室、洗面などの水廻りにこだわりがあるのですが・・・
水廻り…、特に浴室は新居でのくつろぎ空間を求める上で、近年、こだわりを持つ方が増えると共に、重要度が増しているように感じます。メーカーのユニットバスや洗面台も従来製品に比べ、デザイン性や性能が向上してきています。当事務所では、それらの商品はもちろんですが、よりオリジナリティの高い造作のお風呂を設計した事例も数多くございます。バスコートや坪庭と連続させたお風呂といった建築デザインから、ヒノキ浴槽、ジェットバス、タイル貼、シャワーヘッドなどの部品の選択まで、お客様の要望に合わせてオリジナルの浴室を造ることが可能です。
Q.6 自然素材を使った住宅に興味があるのですが・・・
当事務所では、無垢のフローリングや珪藻土の塗り壁など、自然素材を使った住宅を数多く手掛けてきました。調湿効果や化学物質を使用していないという空気環境に優しいメリットももちろんですが、自然素材の持つ独特の風合いや肌触りを感じるインテリアになるのも特徴です。特に無垢のフローリングや木製サッシは時間と共に味わいを深め、その変化を楽しむのも良いと思います。
Q.7 インナーガレージを作りたいのですが・・・
最近の生活スタイルと土地の有効利用を考える上で、住宅と自動車との関わり方は住まいづくりの重要なポイントだと考えています。大きな住宅、ローコストな住宅を問わず、私どもはこれまで数多くのガレージ付きの住まいを手掛けてきました。特に狭小住宅地などでは、1階部をガレージ、採光や眺望にすぐれている2階にリビングダイニングを設けるなど、特徴ある断面計画を多く提案しています。 最初から「ガレージなんて予算的に無理」と諦めないで、ぜひご相談ください。
Q.8 小屋裏や地下スペースの有効利用は可能ですか?
土地の有効利用を考えた場合、地価の高い都心ではごく一般的に地下室をつくりますが、比較的、地価の安い地方では地下室をつくる住まいは多くありません。しかし、1階部分の全てを地下に埋めるのではなく、半分埋める半地下などは比較的コストも安いため、基礎を生かした提案をすることも多くあります。また、1年を通して、室温が安定していることや、防音性に優れることからオーディオルームやホームシアターとして利用した例もあります。また、断面計画をする際、小屋裏部分にロフトや小屋裏収納を設けることも多く、+αの収納空間として大変有効です。
Q.9 上手に収納出来るコツを教えてください。
設計やお問合わせの際、新築・リフォーム問わず、収納のお悩みが多くあげられます。物が増えすぎると、たとえ収納出来るスペースが沢山あったとしても、しまった物のありかを把握できなくなります。ご家族でよく相談して散らからないルールづくりと、物を増やさないという心構えが必要です。又、当事務所では外部物置と車庫を合わせて計画するケースが多くありますが、空き箱や古い本等を家の中ではなく外部収納に出来るだけ収納することも家の中の収納する物を減らす解決策になります。

5.設備計画と住環境

Q.1 照明計画の考え方を教えてください。
「空間や情緒を楽しむための演出」が照明計画のコンセプトです。照明の位置・種類・明るさ・方向・仕上げの色などにより空間は大きく変化します。最近では間接照明といった壁や天井を照らして明るさを演出する手法も多く採用しています。必要なところに必要なだけの明かりがあることで、落ち着きのある空間ができ、明かりを楽しむことができます。時にはオリジナルの照明器具をデザインして空間を演出し、デザイナーとコラボレーションしたケースもございます。当事務所では様々な選択肢の中から、それぞれの空間に適した照明を選定しています。
Q.2 換気の種類と方法にはどのようなものがありますか?
建物の気密性が高まってきている事に伴い、24時間換気が法律で義務付けられています。そのため一般的な建物の居室は換気設備の設置が必要になります。換気には3つの方法があります。 「第1種換気」…給気も排気も機械を用いるため、換気がコントロールしやすいシステムです。熱交換型※もこの方式に含まれます。 「第2種換気」…機械給気と自然排気を用いる方式です。浄化した空気を強制的に給気するため、清潔さが必要なクリーンルームなどに用いられますが、一般住宅ではあまり採用されません。 「第3種換気」…自然給気と機械排気を用いる方式です。臭いや熱が発生するトイレやキッチンに換気扇を設け、新鮮な空気が必要なリビングや居室から自然給気を行います。一般住宅で最も多く採用されています。 ※排気によって逃げる熱を回収し、給気に移すことで熱ロスが少ない省エネルギーなシステムです。
Q.3 全館空調について興味があります。
当事務所では、調湿・換気を組み合わせた全館空調システムを採用した実績がございます。換気をしながらも室温・湿度を快適に保つことができ、居室以外の廊下等にも空調機を設置するので、建物内の温度と湿度がほぼ一定になります。又、吹抜リビングと2階ホールが繋がる様な開放的な空間を創ることが可能です。但し、システムによっては大きな室内機や空調ダクトを設置するスペースが必要になるため、設計時の早い段階で採用の有無を検討していく必要があります。
Q.4 床暖房を検討しています。
床暖房は足元から暖かくなることがとても魅力的で、住宅新築時・リフォーム時に採用を検討される方が増えています。床暖房の輻射熱は空気が乾燥しにくく、肌荒れやノドを痛める心配もありません。器具を倒す心配もないので小さなお子様や高齢者の方がいるご家庭にもおすすめです。一般的に3つのタイプに分類されますが、現在は温水式が主流です。但し、暖房機能のついた給湯器や床暖房専用のヒートポンプが必要になるため、洗面・キッチン等の少ない面積のみに採用するのであれば電気式の方がイニシャルコストは抑えられます。 「温水式」…給湯器やヒートポンプで温水を作り、これを床内に循環させます。 「電気式」…床下に敷設したヒーターの熱を直接利用します。電気式の中でも、サーモにより温度上昇を制御して、ランニングコストを抑えた遠赤外線式のものもあります。 「蓄熱式」…床下にヒーターと蓄熱材を敷設し、安価な深夜割引電力を利用して深夜にヒーターに通して蓄熱材に熱を蓄え、昼間それを放出するシステムです。
Q.5 薪ストーブに興味があります・・・
当事務所でも、薪ストーブを設置した事例があります。薪ストーブは、炎を熱源とする暖房機器です。ストーブや煙突からの放射熱効果もあり、温度ムラのない快適な暖かさが得られます。また、火を眺めてリラックスしたり、家族の憩いの場になったりと、インテリアとしての役割も果たします。その一方で、メンテナンスや安全性の確保も大切です。年に1回、シーズン終了後には、点検と掃除のメンテナンスが必要になります。また、接触による火傷にも注意しなければなりません。特に、小さなお子様がいる場合は、ストーブの本体が熱くなりすぎない対流式を選んだり、囲いを設置したり、というような工夫が必要です。薪置き場の設置も、設計段階で考えなければならない項目のひとつです。
Q.6 太陽光発電について教えてください。
太陽光発電は、文字通り自然エネルギーである太陽光を利用して発電するエコ設備の一つです。作った電気を家庭で利用する事はもちろん、余剰電気を電力会社に売ることができます。設置する太陽光パネルの目安は、一般的に4人家族で4kw以上、導入費の目安としては1kwあたり約30万程度になります。太陽光発電の買電価格は残念ながら、年々下がりつつありますが、導入後10年間は導入時の買電価格が保証されています。日照時間等の条件によっても異なりますが、約10年〜15年程度で導入時のイニシャルコスト分を回収出来ると言われています。太陽光発電は新築時に設置する事で足場代等の工事費が抑えることができます。当事務所では、設置のご希望がある場合、事前に太陽光発電の工事業者に見積をとり予算配分に計上して、新築時に設置できるように配慮しています。
Q.7 特別な設備を使用したいのですが対応してもらえますか?
ホームシアターを設置したい、ホームエレベーターを設置したい、手持ちのオーディオを設置したい等、設計から取り込んでいきます。機種によっては特別な配線が必要ですし、電源や配線を先行しておけば、配線が見た目にもスッキリとまとまります。又、工事中の調整も、施工会社・工事する専門業者・設計者・施主で現場打合を重ね、進めていきます。
Q.8 防犯が気になるのですが・・・
アラーム音や光などを発する防犯設備を設置するのも一つの方法です。さらにドアやサッシなどの開口部には、侵入犯罪・窃盗犯罪の抑止効果が高い商品(ピッキング防止錠・防犯ガラス・シャッター)も沢山あります。最近のカメラ付きインターホンには、留守中の訪問者の録画・録音機能や、敷地内の不審者を室内のモニターで確認できるなど、セキュリティ機能を向上させた商品も登場しています。但し、防犯が気になるからといって全てに鍵をかけてしまうと、生活がしづらくなります。当事務所では、設計中に鍵を掛けるドアの箇所・シャッターや雨戸を設置する場所・センサーライトをつける場所等をシミュレーションしながら打合せをし、ご提案しています。その他に、警備会社にセキュリティ計画を依頼することも可能です。設計段階から打合せ・見積をし、工事監理中に他業者との調整を行うことで警備機器の配線等が室内に露出しないように配慮します。

6.着工~完成するまで

Q.1 工事契約はいつ行うのですか?一般的な支払い条件を教えて下さい。
工事金額が決定し、着工する前に施主と施工会社で結びます。契約書には、工事金額、工事請負金額工期、支払い条件、契約者氏名・工事監理者等の記載があり、両者の捺印の上、印紙を貼ったものを両者が持っている事が必要です。支払い条件は、着工時、上棟時、竣工時に三分割して支払う場合が一般的ですが、融資などのタイミングや、手持ち資金の都合等によっては、四分割にしたり割り振りを変更することも可能で、施工会社さんとの話し合いで支払い条件や分割の方法を決定する事もあります。
Q.2 知り合いの建設業者にお願いできますか?
もちろん可能です。これまでも実例がございます。身内の方やお知り合いに電気工事業者や設備工事業者などいらっしゃる場合には、特定の工事だけお願いすることもできます。お客様に紹介して頂いたことがご縁で、その後も当事務所が長くお付き合いさせていただいている建設業者さんもいらっしゃいます。詳しくは事前にご相談下さい。
Q.3 建物の保証はどうなっていますか?
平成21年10月1日から住宅瑕疵担保履行法がスタートし、施工業者は住宅瑕疵担保責任保険に入るか、法務局に保証金を支払うことが義務づけられました。これにより、万が一施工業者が倒産した場合でも、「構造耐力上主要な部分および雨水の浸入を防止する部分に関する10年間の瑕疵担保責任」が保証されることになりました。また、任意ではありますが、地盤保証制度や完成保証制度を利用することも可能です。詳しくはご相談下さい。
Q.4 よく耳にする「手抜き工事」が気になるのですが・・・
手抜き工事や欠陥住宅が蔓延していると一概にはいえませんが、お客様に安心して生活していただけるように、当事務所がプロの目で現場をチェックしながら建物を作り上げていきます。適正な施工が行われているか、正しい材料が使われているか、設計事務所が監理していくことで、スケジュールの調整やトラブルの防止など工事が円滑に進むように努力いたします。また、職人さんや各業者さんの知恵や経験を取り入れ、現場での打合せを重ねながら良い家づくりを目指しています。
Q.5 工事監理って何をするのですか?
「工事監理」は設計事務所の業務です。間違えやすいのは工務店側の現場監督さんが行う業務が「工事管理」(現場管理)で、この二つは呼び名が同じため混同される事があります。設計事務所が行う「工事監理」は、現場が図面通りに施工されているか、施工方法は適切か、チェックするのはもちろん、現場での変更の調整、各工種の納まりの確認、金額面の調整などを主な業務として、定期的に定例会議を行います。設計事務所の立場は「施主の代理人」です。また、申請通りの工事が行われたか中間時や完了時に確認する為の役所や審査期間の検査があり、これには監理建築士が立会い、工事の内容を報告する事が必要になります。
Q.6 地鎮祭や上棟式は必ず行うのですか?
必ず行っているわけではありません。あくまで施主の希望により決定します。当事務所の場合は地鎮祭・上棟式共に 6~8割程度の施主が行っています。但し、式そのものの内容は以前に比べるとかなり簡略化されています。工事期間中のお茶出し等は不要ですが、時には現場へ足を運び、職人さんとのコミュニケーションを図ることも大切なことだと考えます。
Q.7 工事中の仕様変更も可能ですか?
変更内容にもよりますが材料の発注・承認・施工前であれば基本的には可能です。私どもは、設計時に模型・パース・50~60枚程度の図面などにより、施主と打合せをして、内容を決定していきます。しかし、図面だけでは把握できない部分がありますので、そういう部分については、現場監理時に最終決定するようにしています。たとえば外壁の色については、上棟後に建物のボリュームや陽の当たり方などを確認し、実物見本を基に検討して決定するようにしています。 また、造作家具についても現場で採寸し、部屋の大きさや使い勝手をシュミレーションしながら決めるようにしています。但し、工事業者は着工時には竣工までの工程を頭に入れ、施工していきますので、工程を遅らせるような変更は、費用の追加の原因にもなりますので、気になるところがある場合はリストアップして早めに打合せすることをおすすめします。
Q.8 引き渡し後のメンテナンスはどうなっていますか?
施工会社に対し、施主が入居された後の工事保証(住み始めてから生じた工事不良が原因と見られる欠陥の復旧と保証)や、瑕疵の検査(引き渡し後1年後,2年後に実施)を義務づけています。当事務所も立会いの上、施主、施工者、設計事務所の三者で建物のチェックを行い、補修箇所があれば、補修工事に入らせていただきます。又、長期間に渡り、設備の更新や外壁の補修、リフォーム等の相談も対応しています。